薬剤師的、皮膚外用剤(塗り薬)を剤形から選ぶポイント

同じ配合の外用剤でも軟膏・クリーム・ローション(液体)など、いろいろな剤形(薬の形状)があります。
一般的にはどの剤形でも「中身(成分)が同じ=同じ効果」と認識されがちですが、実は外用剤の剤形はとても重要なのです。
間違った形状の塗り薬を使うと、効果を感じにくかったり、悪化してしまうことも・・・
今日はその辺りをサクッと説明してみます。
クリーム・ローションは使わないほうがいい場合
クリームとかローションは使用感がサラッとしていることが多いので、よく使う方もいると思います。
ですが、こんな場合は絶対おすすめしません。
- じゅくじゅくした水虫
- 透明な液体が出ている傷口
- 掻き壊してボロボロの肌
こういう状態の皮膚は「しっとり」した状態にあります。
クリームやローションは水っけが強くて、しっとりした状態の肌を刺激する場合があります。
簡単言うと、「悪化するかもしれないからやめておいてね。」ということです。
こういう場合は「~軟膏」を使うのが正解です。
軟膏(油っぽい、べっとりしたやつ)はオールマイティ
軟膏はベタッとして塗った後に不快感があるのですが、実は肌への刺激性が一番少ないという特徴があります。
ほとんどの皮膚症状に使えるので、とっても便利です。
水分が少なくてカサカサしている状態の肌には、保湿効果が高いですし、
傷口や掻き壊したときのような、水分の多い状態のときは、刺激が少なくて保護力が高いです。
クリームと軟膏では見分けがつきにくいと思いますが、大体、商品名に「~軟膏」と書かれているので、よく見てみるとわかりますね。
やや判断が難しいのが「~ジェル」というやつですが、クリームとローションの中間と思えばOKです。
クリームよりも水っぽいので結構刺激になることもあります。
ちょっと注意ですね。
季節を考えてみる
皮膚科の処方をよく観察していると、同じアトピー皮膚の治療でも
- 乾燥した冬場は軟膏
- 湿度の高い夏場はクリーム
といったように、季節によって剤形の種類を変えることがあります。
アトピー皮膚では、皮膚が薄くなって、更に乾燥していることが多いので、
- 空気が乾燥しているときは軟膏でしっかり保湿・保護をする
- 空気が湿っているときはクリームである程度保湿・保護をする
というように使い分けていることがわかります。
ざっくり言うと、乾燥気味のときは軟膏、湿度が高いときはクリームということです。
あとがき
かなり大雑把になりましたが、外用剤を選ぶときに薬剤師的に考えていることの一部を紹介してみました。
これだけではあまり参考にならないかもしれないのですが、なぜベタベタする軟膏をすすめる薬剤師がいるのか?という疑問には答えられたかと思います。
あと、これはあくまで参考程度の情報です。
実際の治療にはそぐわない場合もあるので、皮膚科に通院しているのであれば、医師の指示・アドバイスには素直に聞き入れてくださいね。
では、今日はこの辺で。
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